皆さん、「ミートプロキシ(Meat Proxy)」という言葉を聞いたことがありますか。直訳すると「肉の中継役」のような意味になります。
最初に聞いたときは、「お肉屋さんの話?」「焼肉食べ放題に関係する言葉?」と一瞬思いました。きっとお腹が空いていたんだと思います。実際は、全然違う意味でした。
私も最近知った言葉ですが、AIが当たり前に使われるようになった今、なかなか考えさせられる言葉だなぁと思ったので、今回はブログにしました。
ミートプロキシとは?
ミートプロキシとは、簡単にいえば「AIの回答を、そのまま別の人へ中継する人」を皮肉った表現です。
例えば、誰かから質問を受ける。
その質問をそのままAIに聞く。
返ってきた回答をコピーして、そのまま質問してきた人に送る。
これだと人間がいる意味ある?ただの「中継役」じゃない?って話です。
2026年8月にソフトウェアエンジニアのNiklas Gruhn氏が公開した「Don’t be a meat proxy」という記事でも、このような行動についてかなりストレートに問題提起されています。Gruhn氏はAIを使うこと自体を否定しているわけではなく、
「AIに聞くのはいい。ただ、その回答をそのまま転送するのではなく、自分で読み、理解し、検証して、自分の言葉で返そう。そこに人間が加えられる価値がある」
という主張です。
Gruhn氏自身も「自分もやったことがある」と書いていますし、私もやったことがありますので他人事ではありません。
記事を読んだときに、最初に「ごめんなさい」という感想が思い浮かんだことは内緒です。
同じAIでも、その後の行動で価値が変わる
最近はAIによる業務効率化が盛んに語られています。ただ、AIもあくまでツールの一つ。使い方によって自分の仕事の価値を上げることあるし、下げることもあります。
例えば、佐藤さん(仮)と望月さん(仮)が同じAIに、まったく同じ質問をしたとします。
佐藤さんは返ってきた回答を読み、
- これは本当に正しいのか
- 今回のケースにも当てはまるのか
- 相手が本当に知りたいことは何なのか
- 自分ならどう判断するのか
を考えます。
必要であれば追加で調べ、そのうえで相手に必要な情報を整理し、自分の言葉で回答します。
一方、望月さんはAIから返ってきた回答をほとんど読まず、そのまま相手へ送ります。
使っているAIは同じ。最初に入力したプロンプトも同じ。
でも、受け取る側から見た二人の価値は、かなり違ってくるのではないでしょうか。
「AIが言っています」で責任(価値)を失わない
自分自身も気をつけたいと思っているのが、
「ChatGPTではこう言っています」
「AIに聞いたところ、この方法がいいそうです」
という言い方です。
もちろん、AIの回答を参考情報として共有すること自体が悪いわけではありません。私も使います。
ただ、使い方によっては、
- 私は正しいかどうか判断していません
- 間違っていてもAIが言ったことです
- 最終的な判断はあなたに任せます
という責任転嫁にもなり得ます。
例えば、お客様から相談を受けて「ChatGPTによるとA案、B案、C案があるそうです」とだけ回答したら、お客様としては「では、うちの場合はどれがいいの?」となります。
お客様が専門会社に相談する理由は、AIでも調べられる一般論を知りたいからではなく、「自分たちの場合はどうするのがいいのか」を判断してほしいからではないでしょうか。
AIが出した答えをそのまま渡すのではなく、AIの答えを材料にして、自分たちの答えを作る。
ここに、私たちが間にいる意味があると思います。
AIに仕事を奪われる前に、自分から価値を手放さない
私自身、もうAIがない状態は考えられないくらい日常的にAIを利用しています。
だからこそ、使い方には気をつけたいとも思います。
AIに調べてもらい、自分で理解し、必要なことを確認し、自分なりに判断して、相手の状況に合わせて伝える。そこまでできれば、AIは自分の価値を下げるものではなく、むしろ自分の価値を高めてくれる道具になります。
使っているAIは同じ。入力したプロンプトも同じ。
それでも、その後に人間が何をするかによって結果は大きく変わります。
AIに任せる部分と、人間が価値を加える部分。
これからも、その境目を考えながらAIと付き合っていきたいと思います。