自社採用サイトは必要なのか—「最後の一押し」を自社から届ける
この記事でわかること
- 自社採用サイトの役割と重要性
- 応募者の不安を解消する情報設計の方法
- 採用における福利厚生の見せ方と更新運用のコツ
求人媒体だけでは伝わらない「安心」
静岡の企業からよく聞く悩みに、「求人媒体に出しているのに応募が少ない」「面接後に辞退されてしまう」という声があります。これは求人の“露出”だけでなく、“内容の伝わり方”に課題があるからです。仕事内容のリアル、評価の考え方、福利厚生の実態——それらを十分に伝えきれていないと、求職者の不安は拭えません。
自社採用サイトの3つの役割
1. 一次情報を届ける「情報の発信基地」
求人媒体では伝えきれない、会社ならではの価値観や評価基準を明文化しましょう。
例:昇給・評価の考え方/教育制度/3か月目の目標設定など。
2. 現場の雰囲気を伝える「リアルな窓口」
写真を中心に、可能であれば短い動画も活用して「誰と・どこで・どんなふうに働くか」を見せましょう。
- 集合写真(チームの雰囲気)
- 作業中の手元
- 清潔な設備
- 安全・5S活動の様子
- 休憩中の自然な姿
3. 応募の不安を減らす「安心の導線」
「応募→書類選考→面接→見学→内定→初出勤」までの流れを1画面でわかりやすく表示。所要日数や持ち物、連絡手段、辞退時の連絡方法まで“先回り”して記載することで、応募のハードルを下げられます。
最小構成でも始められる!10ページ設計
はじめから完璧を目指す必要はありません。以下の10ページからスタートしましょう。
- 募集要項(評価基準・目標を明記)
- 求める人物像(行動例で具体化)
- 1日の流れ(写真・動画)
- 給与・昇給・評価制度の説明
- 福利厚生(利用方法や申請手順)
- 教育・配属後サポート(OJTやメンター制度)
- 社長メッセージ(理念を語るエピソード)
- 先輩インタビュー(入社理由・成長実感)
- FAQ(通勤・残業・駐車場・転勤有無など)
- 応募〜初日の流れ(ステップ表示)
地域性を活かす:静岡ならではの情報
UIJターン層に刺さるよう、「通勤・暮らしやすさ・生活費・周辺施設・レジャー」などの情報を1ページに集約しましょう。
また、地域との関わり(清掃活動・防災訓練・地元行事)も信頼感を高めます。現業職では、安全・5Sの取り組みが「安心して働けるか」の判断材料になります。
よくある失敗と改善のコツ
- 抽象的な人物像:「主体性がある」→「判断に迷ったら必ず上長に相談」など、行動で表現
- 写真ゼロ問題:最低限、スマホで“手元と道具”を撮影
- 長すぎる動画:30秒×複数本に分け、現場の“日常”を切り取る
- 更新停滞:「最新更新日」が古いと逆効果。月1回の小更新で可視化
- 問い合わせ迷子:応募ボタン→フォーム→送信後の画面まで文言を統一
運用のコツ:社内を巻き込むミニルール
- 担当者を1名決定(人事・総務・現場のいずれか)
- 月1回の編集会議で「FAQ1件+写真1枚+求人1本」を更新
- 撮影用チェックリストやインタビュー質問テンプレを用意
- 既存ページと内部リンクをつなぎ、回遊性アップ
- 匿名でも問い合わせ可能な相談窓口を設置
まとめ:採用は「安心」の積み重ね
求職者は、給与や待遇だけでなく「自分がこの会社でやっていけるか」「初日の自分に誰が声をかけてくれるか」といった感覚的な安心感を求めています。
採用サイトは、それに自社の言葉で丁寧に応える場です。
媒体任せにせず、最後の一押しを“自分たちの手”で届けること。それが、これからの採用の当たり前になっていくはずです。